はじめに
リベラルスタディーズが重視する「問い」「統合」「判断」は、国際的にはコンピテンシー(資質・能力)をめぐる議論とも重なります。
本記事では、PISA・OECDの枠組みを同一視するのではなく、接続点として整理します。
OECD・PISAの中心的な問題意識
知識の再生から「活用」へ
PISAでは、知識量そのものではなく、現実の文脈で知識を活用し、課題を捉え、意思決定する力が重視されてきました。
協会としては、この方向性はリベラルスタディーズの問題意識と親和的だと整理しています。
接続点①:複雑な課題への向き合い方
Complex / Wicked Problems
気候変動、社会の分断、情報環境の混乱など、単一分野で解決できない課題が増えています。
リベラルスタディーズは、専門性を否定するのではなく、専門性を接続し文脈化する力を育てる点で、この課題設定と整合します。
接続点②:批判的思考と判断のプロセス
情報過多の時代には、次の力が求められます。
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前提を点検する
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根拠を評価する
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他者と対話しながら判断する
PISA・OECDの表現は領域ごとに異なりますが、リベラルスタディーズが重視する「判断の筋道」と重なる部分があります。
接続点③:評価の課題
測れるものだけで語らない
国際評価は比較可能性のために指標化を必要とします。
一方、リベラルスタディーズの成果(統合の深さ、対話の質、倫理判断など)は単一テストで捉えにくい側面があります。
協会としては、
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ルーブリック
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ポートフォリオ
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キャップストーン
など、複数の評価方法を組み合わせることが現実的だと整理しています。
まとめ
PISA・OECDの枠組みは、リベラルスタディーズを直接説明するものではありません。
しかし、「知識の活用」「コンピテンシー」「複雑課題への対応」という観点から、社会的意義を説明するための重要な接続点として活用できます。
本記事で整理したように、PISA・OECDの議論は、リベラルスタディーズを単なる教育手法ではなく、社会的文脈の中で説明するための接続軸を提供してくれます。
一方で、こうした国際的な枠組みが、実際の大学教育や学位設計の中でどのように具体化されているのかは、別途整理が必要です。
▶︎ 海外大学におけるリベラルスタディーズの位置づけ
(Liberal Artsとの関係と、学位プログラムとしての特徴)
また、これら一連の議論の前提となる研究的背景については、以下の記事で全体像を整理しています。
▶︎ リベラルスタディーズに関する主要研究レビュー
― 国内外の教育研究から見る理論的背景・実践的課題・今後の展望 ―
国際リベラルスタディーズカレッジ協会では、研究・制度・実践・評価を切り離さず、相互に接続しながら整理していくことを重視しています。
本シリーズを通して、リベラルスタディーズを「流行語」ではなく、検討可能な教育概念として捉えるための視点を提供していきます。
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